ひとつひとつの材料にはそれぞれの性能がありますので、性能の低い材料よりも高い材料を使った方がその効果は上がる筈です。しかし、住宅は多くの材料を組み合わせる事により成立しています。多くの材料の組み合わせ方により、その性能は発揮されるのです。
例えば、壁に遮音性能が非常に高い材料を使ったとしても、扉や窓に何の考慮をしなかったり、施工精度が悪く隙間だらけになってしまっては、期待される遮音性能は得られません。住宅の性能は、主となる材料の性能と他の材料の組み合わせ方や施工の精度の総合として発揮されるものです。
また、一つの材料には多くの特性があります。例えば、木材は引張力に強い、軽い、加工し易い、調湿機能がある、耐火性能は低い、腐り易いなど。コンクリートは圧縮力に強い、耐火性能は高い、耐水性は高い、遮音性能は高い、引張り力に弱い、調湿機能は無いなど。つまり、建物は総体としての性能が必要であるため、多くの材料を用いてその利点と欠点を補完し合うように設計されているのです。
鉄筋コンクリート構造はまさしく補完の考えから生まれた工法です。引張りに強く圧縮に弱く、水分により錆び易い鉄筋と、引張りに弱く圧縮に強く、耐水性がありアルカリ性のコンクリートとを組み合わせる事により、引張りにも圧縮にも強く、耐候性に優れた工法を創り出せたのです。