コストダウン余地の発掘方法
コストダウンの方向性を見出すためには、見積原価計算の結果から製品別の限界利益率と付加価値率を計算する必要がある。
(1) 原価のポートフォリオ分析
図表1のように縦軸に限界利益率(または売上高総利益率)、横軸に付加価値率を取って、各製品毎の計算結果をプロットしてみる。
丸の大きさは、売上高の大きさを示す。そして、限界利益率は30%〜40%、(売上高総利益率は15%〜20%)、付加価値率は50%の所で線引きをすると3つのパターンに分けることができる。
それぞれを、販売促進型、戦略見直型、改善促進型と呼ぶ。以上の分析手法を原価のポートフォリオ分析と呼ぶ。
図表1
このなかで、限界利益率の高い製品は収益力があることをあらわし、高い順に売れば売るほど儲かる製品である。これを販売促進型製品と呼び、販売戦略上常に意識されなければならない。
反対に限界利益率の低い製品はコストダウンすべき製品である。
(2) 戦略見型製品の改善方向
限界利益率も付加価値率も共に低い製品を戦略見直型製品と呼ぶ。
これは図表2に示すように、売価の見直をするか材料費を下げることによって限界利益率も付加価値率も共に向上するアクションが必要である。
このアクションが取れる部門は開発・設計である。
図表2
また、これは生産そのものを継続するか否かの意思決定がトップに要求されている製品でもある。特に限界利益率がマイナスになる製品は中止か継続かを即決する必要がある。
(3) 改善促進型製品の改善方向
限界利益率は低いが付加価値率は高い製品を改善促進型製品と呼ぶ。
これは、図表3に示すように、付加価値の中で加工費に食われて利益が出ていないことを意味しているので、加工費の低減をすることによって利益にかえる。
つまり付加価値率は変えずに限界利益率だけ向上させることができる。
図表3
このアクションが取れる部門は生産技術である。
戦略見直型製品に比べて、改善促進型製品は設計からの見直しをせずに、作り方の改善をすることになるので、比較的短時間に効果を上げることができる。
(4) 材料費の改善余地分析
ポートフォリオ分析の戦略見直製品群は材料費を低減する方向で検討する。どれくらい材料費が低減できるかは、材料の機能分析を行い基本機能を追求する。
■ 材料費の基本機能と補助機能
完成材料には製品本来の機能を有する基本機能に使われるものと、その基本機能を補助する補助機能に使われるものがある。
たとえば、カセットテープの基本機能は音を録音する部分だけであり、テープの先端にある巻取り部分は補助機能である。録音時間が60分のカセットテープでは補助機能の巻取り部分が先端、後端に2.5cmもある。
製品は基本機能のみで構成されるのが最もよい。といっても基本機能は改善できないという訳ではない。ハイテク技術の活用、過剰品質材料の見直しにより改善できるが、改善のやりやすさという点から考えると、難易度が高いのである。
図表4は投入材料で決まる材料費を基本機能、補助機能、技術歩留ロスに区分したものである。
図表4
ここで、基本機能部分を基本機能材料費とし、基本機能+補助機能×1/2を理想目標材料費とする。
改善余地は実際材料費から理想目標材料費を引いたものである。
(5) 加工費の改善余地分析
ポートフォリオ分析の改善促進製品群は加工費を低減する方向で検討する。どれくらい加工費が低減できるかは、加工の機能分析を行い基本機能を追求する。
■ 加工費の基本機能と補助機能
加工時間の構成は、一般の作業では主体作業と付帯作業に分けられる。さらに、主体作業は製品の加工・組立・変形・変質を伴う作業であり、中でも直接それにたずさわる作業が基本機能である。
基本機能のみが加工本来の作業であり、加工時間は基本機能のみで構成されるのが最もよい。
材料費と同様に、加工費の基本機能、補助機能、ロスの関係を図表5に示す。
図表5
加工時間の機能を分析し、基本機能時間を基本機能加工費とする。基本機能+補助機能×1/2を理想加工費とする。
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