基板実装工程の環境・品質・コスト改善
(1)基板実装工程の概要
電気装置品の基板実装ユニットを設計・製造しているX社では、経営課題として、製造環境保全を含めた生産工程の品質・コスト改善を上げていた。X社の基板実装ユニットは、図表1に示すSMT(表面実装技術)実装であり、その実装品質が基板ユニットを使用する装置の品質を決定する要素であった。
図表1
SMD(表面電実装部品)の極小化に伴い、半田不良が発生し、実装工程での歩留を悪化させるコストアップ要因であった。また、SMTの後には洗浄工程があり、地球環境保全や安全衛生の側面から無洗浄化を検討していた。このような背景から、環境保全、品質、コストの最適化をはかったSMT実装ラインを構築する必要があった。
(2)半田印刷工程の最適生産条件
半田印刷工程の制御因子として図表2の“Aスキージ角度”、“Bスキージ圧”、“Cスキージ速度”、“Dマスク距離”、“E版離速度”、“F印刷方向”、“G清掃間隔”を検討した。
図表2
半田印刷工程でかすれ、ブリッジを発生させないパラメータを確立するために、図表3に示すL8直交表に割付け、実験を実施した。
図表3
図表4は、データ解析結果より求めた印刷工程の現状水準と最適水準である。
図表4
現状の生産条件は、8つの制御因子について全て1水準であったが、最適水準は、“Cスキージ速度”、“Dマスク距離” 、“G清掃間隔”が2水準となった。“Cスキージ速度”を現状より速くしても、半田印刷工程でかすれ、ブリッジを発生させない条件を確立したのである。
(3)リフロー半田付け工程の最適生産条件
リフロー半田付け工程の基本機能は、熱容量により半田を溶かすことであり、「熱容量=温度×時間」の効率を最大にすればよい。この基本機能の代表的な制御因子として、“Aリフロー(半田を溶かす)温度”、“Bプリヒート(余熱)温度”、“C上昇傾向”、“Dプリヒート(余熱)時間”などを検討した。
図表5は、横軸がリフロー半田付けでの経過時間、縦軸が温度であり、代表的な制御因子を整理したものである。
図表5
制御因子を直交表に割付け、実験結果から求めた代表制御因子の最適水準値の比較表が図表6である。
図表6
現状の代表的な制御因子の水準は2水準である。これに対して、補助表から算定した最適水準は、“Aリフロー温度”が2水準、“Bプリヒート温度”が3水準、“C上昇傾向”が3水準、“Dプリヒート時間”が3水準であった。
ここで、“Bプリヒート温度”を150℃から160℃に上昇させ、“Dプリヒート時間”を90秒から60秒に短縮する最適水準値は注目にあたいする。つまり、“Bプリヒート温度”を10℃上昇させるだけで、“Dプリヒート時間”が2/3に短縮できる生産条件を確立したのである。
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