「家は家族の幸せのためにつくる」
気恥ずかしいような言葉ですが、家づくりの原点はこのことに尽きると私達は認識しています。
その上で、現代の家づくりにおいて何を選択してゆくかが課題です。
環境やエネルギーのこと、健康のこと、素材のこと、構造のこと、コストのこと、町のことなど、複雑に絡み合ったあらゆる選択肢の中から、住み手とつくり手の双方が納得できる選択を行っていかなければならないと思うのです。
ですから私達の家づくりの最初は、住み手が住まいに託す思いを共有することからはじまります。
アトリエ・ヌックの家づくり、7つの柱
1.生活的間取り
考え方の基本は、「生活を分断しない広がりのある間取り」です。
家族室を中心に据えて、そこから他の空間へと連続しながらも、一体感を損なわない、家族の気配を緩やかに感じるつくりとします。
また、機械に頼らずに暮らすために、光∞風≠フ力を最大限に借りる工夫も重要なポイントとなります。
さらに、仕事(家事)エリアの設計も大きなテーマです。住み手の我家流の提案と、私達のテクニックでオンリーワンのプランを生み出します。
2.木組の家
ボルトなどの金物に頼リすぎずに、伝統的継手仕口によって組上げます。
ただし構造計画で最も大切なことは、架構(柱・梁の位置)が無理なく間取りと一致していることです。
架構のグリッドに、目指す間取りをうまく当てはめる(グリッドプランニング)ことで、しっかりとした構造+可変性のある間取りを実現しています。
3.国産材
日本で消費される木材の内、国産材は2割に満たないのが現在の状況です。
住む人の健康だけを考慮するならば、国産材でなくともムクの木を使えばよいと言えます。
しかし私達の暮らすこの日本を元気にするために、日本の木を使って日本の家を建てることが私達の責務と考えています。このまま山林の放置が続けば、山は水源・治水・酸素供給・生態系保持の能力を失います。そうならないためには、日本の林業が産業として成立つ仕組みが必要です。
私達に出来ることは、まず日本の木を使うことなのです。
4.自然素材
ムクの木をはじめとし、紙、土を極力使うように心がけています。シックハウスの元凶になるものを避けるという目的もありますが、触れてホッとし、経年の変化に愛着を感じ、職人の技に敬意を抱けるような素材を使ってゆきたいと考えるからです。工業製品にはない快適さをもたらしてくれるこれらの素材ですが、よいことばかりでもありません。木には割れ・収縮・反り、土はひび割れ、紙は水を吸い破れるなどの欠点(言換えれば個性)があります。自然素材とうまく付合う心構えが、つくり手のみならず住み手にも必要です。
5.職人がつくる
自然素材と切っても切れないのが職人の技です。
法隆寺の例をひくまでも無く、日本の木造建築技術が世界で最も優れている事に異論の余地はないでしょう。
けれどこのことが過去形になってしまってはいけません。合理化の名の元に切って貼った≠謔、なつくりの家が巷に溢れています。何も文化財級の仕事を住まいに求めるわけではありませんが、人に恥じないきちんとした仕事をし、それに対し正当な報酬を職人達が得られる家づくりを目指したいものです。
6.住み手参加
建築の工事の中には初心者でも行える作業があります。
材木の柿渋塗、床のワックス塗りや漆塗。プロの仕事とは比べるべくもありませんが、「これは私がやったんだ」という部分がひとつでもあると、家への愛着はグッと増すものです。
やる気さえあれば、左官屋さんの指導のもと壁塗にチャレンジすると楽しさ倍増です。
コストダウンにも繋がります。
7.コスト管理
私達の仕事の最も重要な事柄のひとつがコストコントロールです。
素晴らしい設計内容の計画も、コストコントロールが為されていなければ絶対に実現しません。限られた予算内での取捨選択を行うためには、施工にかかるリアルなコストの把握が重要であると考え、データを蓄積しています。それにより、計画の初期段階で総事業費計画書を、基本設計時に工事概算内訳予定書を作成し、これを踏まえて詳細設計を行ってゆきます。