2002年10月に、突発性難聴というのをわずらいました。その名の通り、突然右耳 が聞こえなくなって、それから1ヶ月近い治療をしました。こんな経験すること もめったに無いし、結構多くの人が同じように耳が聞こえなくなることがあるら しいので、そんな人の参考になるかもということもあり、その経過なんかをまと めてみようかなと思ったわけです。
僕の場合、会社で仕事をしてて、しかも結構静かな環境だったせいもあって、発症の瞬間は良くわかっていないのだけど、お昼ごはんを食べに行こうと、仕事仲間と一緒に社食に行くときに会話を交わしてるときに、異変に気づきました。右耳に妙な違和感と、明らかに聞こえが悪いことに。
その日は、とにかくその状態が続いたのは、疲れてたせいなのかなと思い、ま、とにかく早く休めばなんて思っていたんだけど、翌朝はひどい耳鳴りと、右耳の圧迫感というか、異物が詰まってるような感じがあって、こりゃなんだかまずそうだということで、病院を探すことに。
僕は、昔っから耳はあんまり良いほうではなくって、小さいころはしょっちゅう中耳炎とか外耳炎とかやってて、ま、どうせそんな感じかなって思って、近くに耳鼻科が無いかなと思ったのだけど、ぜーんぜん思い当たんなくって、結局、大きな大学病院にいくことになったのでした。
さて、病院に行って医師に症状を伝えて、まずは耳をざっと見たけど、外傷とかないから、とりあえず聴力検査をした。いわゆる、ふつーの聴力検査なんだけど、ちょっと違うのは、通常のヘッドフォンをしてやるのだけでなくって、骨から伝わる音を感じることができるかって検査。左耳はヘッドフォンで雑音が「ざーっ」って流れていて、右耳には、耳の後ろの骨に、なんか丸い玉みたいのを当てられて、そこから音が聞こえてくるってもの。で、どうかって言うと、耳鳴りなんだか、検査の音なんだか、なんだかとにかくわからないって感じ。
で、その結果をみて、医師は、「突発性難聴ですね、お仕事2週間くらい休めますか?」って。あー、本当にこういうとき、医者って人のこと考えてねーよなって感じた。よくテレビとかでもやってる感じに、本当にぶっきらぼーにこういうことを言う。で、当然「ちょっと待ってください、他の方法無いんですか」ってやるわけです。で、「薬で治療する方法もあります」って言うんで、「じゃ、薬で(^^)」って言ったら、ここで初めて医師が、結構深刻そうに「この病気は初期治療が大切で、薬での治療はお勧めできません、とにかく点滴での治療と安静をお勧めします」と言ってきたわけで、そのとき初めて、ことが深刻だってことに気づかされました。
その後は、担当の看護婦と思われる人にバトンタッチってことになって、その人から、とりあえず、今の症状の原因は、はっきりわからないので、いわゆる難聴の治療と、メニエル病などめまいからくる難聴などの両方を考えた治療が今後行われること、そのスケジュールや生活面での指導なんかがあった。その後、レントゲン、MRIの予約なんかを入れた後、早速、血液検査と点滴。
| 診察初日 | 2日目→11日目 | 点滴最終日 | |
|---|---|---|---|
| 月日 | 10/9 | 10/10 - 10/19 | 10/20 |
| 検査 |
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以後、2回/週くらいの割合で、きこえの検査を行います。 | |
| 治療 | ステロイド(副腎皮質ホルモン)の点滴を毎日行います。
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きこえの具合により、点滴をさらに5日間追加することがあります。 | |
| 活動 | 安静保持 自宅療養、禁酒、禁煙、長風呂は控える、騒音・雑音を避ける、イヤホン・ ヘッドホン禁止、十分な睡眠 |
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実は、点滴は初めてのことでした。血管が細くって、血液検査の時もだいたい苦労するのだけど、案の定、点滴もなかなかうまくいかないことが多く、10日目あたりでは、失敗した後が内出血したりしたせいもあって、黒くなったりしてて、結構人には見せられない腕になってました。手の甲で失敗されたときは、ほんと、泣きが入るほどいたい。
点滴は、だいたい1時間半から2時間。それこそ、ボーっとするしかなくって、慣れてくると、本を読んだりしてるって感じでした。音楽を聴けないのは、家に帰ってからもそうだけど、こういう暇な時間も聴けないのは、結構つらいもんがあります。点滴は、ほんとにたくさんの人がやってて、おばさんとかは、べらべらしゃべっててうるさい!って感じ。子供とかは、ほんとにかわいそう。点滴が終わると、だいたい、体があついような、だるいような感じがして、で、最初2、3日は、終わったあとしゃっくりが止まらなくなったり、夜眠れなかったり、やたらと食欲が出たり、あと、皮膚がすごくあぶらっぽい感じになったりしてました。
点滴は、まぁ、そんな感じで毎日続いていたんだけど、それだけじゃなくって、治療中は、まさに薬づけって感じでした。まず、治療初日から飲み始めたのが、ガストローム顆粒ってのと、イソバイド。このイソバイドは、メニエル病の治療に使われる液体の薬なんだけど、医者も看護婦さんも、薬剤師さんもみんなが「がんばってね」という薬。ようは、まずいのだ。昔、子供用の薬って、変にあまーく味がつけてあって、大人には結構きつかったりするでしょ、まさにあれの最強に濃くなった感じの味で、しかも一回に飲む量が結構な量だったりして、のどを通らないのだ。おぇっ。
それから、点滴が終わると、しばらくはそれを薬で服用するとかいうことで、リンデロンという薬を、量を減らしながら飲んだりしました。で、アデホスコーワとメチコバールという薬は、結局4週間くらい飲み続けたかな?
| 薬の名前 | 薬の写真 | 分量など | 薬の働き |
|---|---|---|---|
| ガストローム顆粒 66.7% 白の顆粒剤です |
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分2、朝・夕食後 全部で、7日分だったかな |
消化管粘膜を保護し、組織の修復をする薬です。胃炎、胃潰瘍の治療に用 います。 |
| イソバイド 無色-淡黄褐色の液剤です |
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分3、毎食後 全部で、2週間分(1日量 120ml !!) |
めまいや、利尿作用、緑内障の眼圧降下、脳圧降下に作用する薬です。 |
| リンデロン 0.5mg 白の錠剤です |
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分2、朝・昼食後 3日分(1日量 : 4錠) |
炎症やアレルギー反応を抑える薬です。主治医の指示なしに、服薬を中止 しないでください。 |
| リンデロン 0.5mg 白の錠剤です |
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分1、朝食後 3日分。上の処方の後に続けて服用する。 |
炎症やアレルギー反応を抑える薬です。主治医の指示なしに、服薬を中止 しないでください。 |
| アデホスコーワ 10% 白の顆粒剤です |
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分3、毎食後 結局、全部で4週間くらい飲んだかも。 |
脳の血液の流れを良くする薬です。胃腸の運動を活発にして胃炎を治す薬 です。目の調節機能を改善する薬です。耳の障害からくるめまいを改善する 薬です。心臓の働きを回復させる薬です。 |
| メチコバール錠 0.5mg 白の錠剤です |
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分3、朝食後 結局、全部で4週間くらい飲んだかも。 |
末梢性神経障害を改善する薬です。この薬は、神経に働き、しびれ・痛み・ 麻痺などの症状を改善する薬です。 |
ステロイドの点滴がある間は、会社に行こうにも、とにかくだるくてどうしようもないので、2週間ほど顔を出したり、休んだりが続きました。特に、この期間は、耳に大きな音を入れないように、耳栓をしたりしました。また、聞こえのバランスが悪いことや、耳鳴り、圧迫感(耳栓も結構いやなものがある)などのせいで、気分が悪くなったりもしてました。
とはいえ、家にいるのは、これはこれで暇で、おなかがみょーに減ったりすることもあって、料理をがんがん作ったりして、食べまくってました。おかげで、たった10日程度で、3キロくらい体重が増えたりしました。
また、聞こえが回復しだすと、今度は入ってくる音が妙に大きく聞こえたり、耳を劈くような感じがして、これまたつらく、しばらくの間は、テレビの音を小さくしてもらったり、会話を小さい声でしてもらったりしてました。だけど、何よりつらいと思ったのが、会社でのPCのファンの音。耳鳴りと区別がつかなくって、とにかく頭がすぐに痛くなる。このときは、本当に世の中って、どうでもいいような音で溢れかえってるんだなぁと、思ったりもしました。
当然、好きな音楽を聴くことを止められ(これが一番きつかった…)、とはいえ、暇な一日何もすることが無かったりするので、ちょっと聴いたりするのだけど、どんなに好きな音楽でも、頭に響いて、うわっとてもじゃないけど聴けないって毎日がしばらく続きました。
というわけで、きっとこういう境遇に置かれた、誰でもがそうなるんだろうけど、自分の近況やらを振り返ることになるわけです。で、あー、なるほど、あれはストレスになってて原因に絡んでそうだとか、なんだかんだ考えるわけです。で、いろんな人から、「いい顔しすぎ」とか「疲れとか、そういうのを顔に出さないからだ」とか言われて、なるほど、そうなのか?とか思ったりして、これからちょっと考えなきゃなとか、思ったりしました。
頭部のレントゲンとMRIをとったんだけど、レントゲンはなんか、胸部レントゲンをとるのに比べて、かなりごっつい装置で、取られる僕は、ベッドに寝かされて、頭の周りをカメラをぐるぐる回して撮ってました。レントゲンの方の結果は、ぜーんぜん異常無しってことで、MRIとりましょってことになった。
MRI の方も、当然初めて。検査に関しては、特に何かやらなきゃいけない(朝ごはんだめよとか)ことは無くって、いかにも病人ですって感じの服に着替えさせられて、ベッドに寝かされて、頭をがちっと固定されます。で、そのベッドが、それこそ火葬場で、棺おけが火の中に入れられるような感じで、でっかい装置の中に押し込まれていくわけです。中は、すっごく狭くって(とはいえ、どうせ動けないからどうでもいいのだけど)、たぶん閉所恐怖症だと、絶対に入れないと思う。検査が始まると、なんだが「ごりごり」とか「がちゃがちゃ」とか「ぐゎんぐゎんぐゎん」みたいなすごくでかい音がなる。最新の装置にしちゃ、なんだか旧式の洗濯機の中に頭突っ込まれたみたいな感じ。同じものを経験した、Wさんは、その規則的な音で、寝てたとか言うけど、ちょっと信じられない、だってほんとにうるさいから。検査は、15分くらいで終わり。
MRI の方は、結果を見せてもらったのだけど、これが笑える。頭が順番に輪切りにされたのがどばーっと並んでいて、特に目のところが輪切りにされたのが、おかしくてしょうがない。まんまるの目ん玉が、申し訳なさそうに、頭にささってるって感じなのだ。で、耳の方はどうかというと、へんなもじゃもじゃってしたものが、脳のほうから出ていて、これが聴神経らしい。で、特に問題なしということらしい(見せられても、ぜんぜんわかんない)。結論から言うと、結局外部から見る限り、傷とか神経的な異常は確認されなくって、原因はわからず。ストレスだろうねってことだけど、まぁだいたいわかんなかったら、原因はストレスってことになるんだろうね。
治療の効果はというと、ステロイドの点滴が終わるころから、少しずつ聴覚検査の結果がよくなってきました。で、高音域から回復が始まって、低音域はなかなかよくなってこないという感じでした。1ヶ月たった現在も、まだ低音は、左耳の聴力に追いついていません。
逆に、ステロイドの点滴が終わってから、しばらくの間、吹き出物がひどくなって、外に出るのがいやになるほどになったりしました。とにかく、ステロイドに関しては、投薬中も、それが終わったあとも、かなり長い間、副作用に悩まされたという感じです。
今もまだ、1ヶ月たった今も2週間に1度の通院は続いているものの、耳の聞こえが悪いというような自覚症状はほとんど無くなって、ときどき、耳鳴りがしたりはするものの、音楽を聴いたり、ごく普通に生活ができるようになってきました。
だけど、体には無理をかけられないし、治療中にいろいろと考えたこともあって、仕事では無理をせず、残業を減らし、家でご飯を食べることにしてます。社食で食べちゃうと、どうしてもその後が遅くなるし。で、うちの奥さんは、療養中も今も、かなりいろいろと気を使ってくれて、変なところに僕が気を回さないでよいようにしてくれている。部署の人たちも同じで、いろいろと気を使ってくれる。両親には、無理をしすぎだと久しぶり怒られたりして、今回ばかりは、いろんな人に迷惑をかけたし、いろんな人に助けられたなぁと思ったしだいなのでした。